長崎幸太郎・山梨県知事
激しい選挙戦を制して昨年2月に就任した山梨県の長崎幸太郎知事(ながさき・こうたろう=51)。この1年を「種まき」の期間と総括し、富士山登山鉄道や少人数学級など公約に掲げた政策の実現に向け、土台づくりに徹した。2年目以降については「結果を出してなんぼの世界。種が葉を付け、おいしい果実になるかはこれからだ」と意気込む。
この1年間で「分かりやすい形で成果を出せた」と強調するのは、中部横断自動車道建設費の県負担の削減だ。総事業費の増加に伴って県負担額が膨らんだことを問題視。自ら総務省に掛け合って交付税算定上の特例措置創設にこぎつけ、約164億円に上ると見込まれていた県負担額を約1億円まで圧縮した。
ただ、自己評価については「まだ3点くらい。どれだけ結果を上げたかが重要で、大部分はまだ出ていない」と話す。2年目以降は「実行フェーズに移せるものは移していく」と力を込める。
その例として挙げるのが、公約の目玉の一つに据えた公立小中学校での25人学級の段階的・計画的導入だ。有識者による検討委員会が1月下旬に「小学1年生への導入を求める」とする報告書をまとめた。これを受け、長崎知事も「2021年度から小1に導入する」と明言。実現すれば都道府県レベルでは全国初になるとみられる。
将来、小学2年生以上に対象を拡大する場合に課題となる財源については「『富士山登山鉄道』に何らかの形でお金を納めていただく。富士山からの恵みものとして子どもたちで山分けする」と述べ、同じく主要公約の一つである富士山登山鉄道を活用した歳入確保を視野に入れる。
この登山鉄道構想をめぐっては、県の検討会が議論を進めており、富士山の山梨県側の麓と5合目をつなぐ県の有料道路「富士スバルライン」上に、次世代型路面電車(LRT)を敷設する案を軸とした中間報告案がこのほどまとまった。長崎知事は「中間報告は、こういうものが登山鉄道、という定義付け。議論のたたき台だ」と説明。20年度からは、これまで県外の有識者が中心となって進めてきた検討内容を「地元に投げ返して対話を始める」考えだ。「技術的にも整備は可能」と主張し、「環境や観光、地域経済に絶対にプラスになる」と力説する。
27年開業予定のリニア中央新幹線では県内に新駅が建設され、東京や名古屋など大都市圏への移動時間が大幅に短縮することが見込まれる。リニアを生かした県の将来展望について「実証実験がいろいろ展開される環境をつくり、近未来の窓口にしたい」と語り、意欲を燃やす。
選挙戦では「国とのパイプ」をアピールした。知事就任後、頻繁に上京して要望活動などに当たっており、秘書課によると19年の公務日数242日のうち東京出張は57日(約24%)。災害などが発生した場合の危機管理態勢については「東京に行っている間は、常に副知事が山梨にいて、しっかり対応している。日常的な事務はテレビ会議で行っていて支障はない」と強調した。
〔横顔〕財務官僚出身で、衆院議員を3期務めて県知事に就任した。「知事になり、ちやほやされることが増えた。勘違いして道を間違えないよう気を付けている」と話す。
〔県の自慢〕「地域への関心が高い」という県民性を挙げ、「行政が旗を振るだけではできないことも連携しやすいと思う」と分析する。(2020/02/20-08:30)
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