すべての人にファッションを…身長105センチのアイルランド人女性の挑戦
2020年02月20日08時48分
【ロンドンAFP=時事】「デザイン」をすべての人がアクセスできるものにするための活動を続けるシネイド・バークさん(29)は、軟骨無形成症のある身長105センチのアイルランド人女性だ。(写真は英ロンドンで開催されたロンドン・ファッションウィークで、ショーの合間に写真撮影に応じるシネイド・バークさん)
バークさんは、ファッション業界で一目置かれている。ロンドン・ファッションウィークでもその存在感を示していた。「ヴィクトリア ベッカム」と「ロクサンダ」のショーの最前列に座るバークさんの少し先には、ファッション界を牛耳るアナ・ウィンター氏がいた。
並み居るモデルや映画俳優、ポップスターらと同じく、バークさんの装いもゴージャスだった。「ヴィクトリア ベッカム」のショーでは、この元「スパイス・ガールズ」のメンバーがデザインしたカナリアイエローのブラウスに一輪の黒い花をあしらい、茶色のタイトスカートをはいていた。
持っている高級ブランドの服はもちろんこれだけはない。「グッチ、プラダ、ディオール、バレンシアガ、ヴィクトリア ベッカム、クリストファー ケイン、バーバリーの服を何着か」とバークさんはAFPに語った。
ダブリンで学校の教師をしていたバークさんは、どうしてファッション誌ヴォーグ英国版の表紙を飾ることになったのか。
始まりは、2017年3月の「TEDトーク」での「デザインがすべての人のためであるべき理由」というスピーチだった。著名人のスピーチ動画をインターネット上で無料公開するこのプロジェクトでバークさんは、トイレのドアの鍵の高さから、自分の足に合うサイズの靴まで、日常生活で直面するさまざまなデザインに関する問題を取り上げた。
140万回視聴されたこの動画は、ある一定の変化をもたらすきっかけとなった。
「あのとき初めて世の中の人々はデザインとアクセシビリティー(利用しやすさ)について(の話に)耳を傾け、それまでとは違う視点でこの業界について考えるようになったのかもしれない。前には進めている」とバークさんは言う。
■「オーダーメードの観点から障害を理解」
バークさんはそこで終わりにはしなかった。2018年2月のロンドン・ファッションウィークの「バーバリー」のショーで、ヴォーグ英国版のエドワード・エニフル編集長に自身のことを知ってもらおうと、自らアプローチしたのだ。
その後、英国のヘンリー王子の妻メーガン妃が同誌のゲスト編集者を務めた2019年9月号では、「変化の力」をテーマに、15人の女性の一人として表紙を飾った。しかし、一流デザイナーたちがオーダーメードの服を作ってくれたことは「またとない名誉」となったが、目標は他にあった。「ファッション業界にとってはおなじみのオーダーメードの観点から障害を理解してもらい、誰もが利用できるツールを作ること」だ。
ファッションショーにおける障害者というアイコン的な枠に収まらず、既存の仕組みそのものを変えるという長期的な目標を抱いているというバークさんは、「大学でマーケティングを勉強している、私のように身長が低い18歳の学生が将来、ヴィクトリア ベッカムやグッチで働けることを理解してもらうため」とその意義について語る。
そして「最高経営責任者(CEO)やクリエーティブディレクターなどの上層部における変化が最も必要だが、次世代のデザイナーも変わらなくてはならない」とも話した。
一方、障害がある人々に関する表現や社会での注目度は少しずつ改善されてきているとして、モデルのアーロン・フィリップ(18)の例を挙げる。フィリップはトランスジェンダーで黒人、そして障害者のモデルとして初めて大手モデル事務所と契約した。
「世界で最も客を選ぶこの業界」で変革を起こすにはまだまだ長い道のりが待っているとバークさんは言う。とはいえ、楽観もしているようだ。
「私なんて一生教師を続けると思ってたのに。それが今ロンドン・ファッションウィークにいるんですからね!」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕


















