【点描・永田町】「河井夫妻の疑惑」が時限爆弾に
2020年02月23日19時00分
通常国会序盤の与野党攻防の焦点が「桜を見る会」と「IR汚職」から「新型肺炎」に移る中、安倍晋三首相らが秘かに「政局の時限爆弾」(自民党幹部)と恐れているのが、河井克行前法相と妻の案里参院議員に対する公職選挙法違反(買収)疑惑での広島地検の捜査の行方だ。
疑惑浮上後の「空気を読まない無責任な言動」(同)などから、永田町やメディアで“広島のバカップル”と呼ばれている河井夫妻だが、司法当局が選挙違反事件として立件すれば、夫婦そろって議員辞職も含めた出処進退が厳しく問われることになるからだ。
河井案里氏は昨年7月の参院選で、広島選挙区(定数2)から自民党2人目の公認候補として出馬、事前の予想を覆して自民岸田派重鎮の溝手顕正元参院議員会長を抑えて当選、溝手氏は落選した。
ただ、地元では派手な選挙活動が話題となり、昨年10月末に週刊文春が河井陣営の公選法違反疑惑を大々的に取り上げ、実質的な選挙司令塔とされた夫の河井氏が法相辞任に追い込まれた。
河井氏を初入閣させた首相は「任命責任」は認める一方、疑惑については「政治家としての説明責任は本人にある」との一般論で追及をかわした。
その一方で、河井夫妻は疑惑発覚直後に「違反については与り知らない」などと関与を否定しただけで、その後は体調不良などを理由に雲隠れを続けた。
年明けに広島地検が案里氏の事務所などを家宅捜索した際、ようやく記者団の前に姿を見せたが、「捜査に支障があるので、具体的な説明はできない」と、お定まりのコメントで説明責任は果たさず、国会で野党から追及された首相も「捜査中」を理由に言及を避け続けた。
◇議員辞職なら補選実施だが…
「文春砲」などで暴かれた疑惑には具体的証拠や関係者の証言も多く、「議員自身に捜査の手が伸びるのは当然」(司法関係者)とされる。
しかも、自民党本部から夫妻の政党支部に約1億5000万円という「常識外れ」(自民選対)の選挙資金の振り込みが判明したことで、自民党内からもあえて案里氏を擁立した首相や党執行部に対し、「あまりにも不公平だ」(閣僚経験者)との批判が巻き起こっている。
そもそも、今回の広島選挙区の戦いは「極めて異常」(岸田派幹部)といわれた。
長年、与野党が2議席を分け合う無風選挙だった同区に、党本部が2人目の候補として案里氏の擁立を決めた際、溝手氏は「あり得ない」と猛反発。選挙戦は自民の同士討ちとなり、首相や菅義偉官房長官の手厚い支援を受けた案里氏の勝利に、同党内では「首相に批判的な溝手氏がつぶされた」(幹部)との声も広がった。
広島地検の捜査は、河井陣営関係者からの事情聴取など詰めの段階を迎え、「立件(起訴)は時間の問題」(司法関係者)とされる。
公選法違反事件では総括責任者が起訴され、有罪が確定すれば当該議員にも連座制が適用されて失職するが、過去には書類送検の段階で議員辞職した例もある。
立件を受けて今年3月15日までに河井夫妻がそれぞれ議員辞職すれば、4月26日に参院広島、衆院広島3区の補欠選挙が実施される。
起訴時に辞職しなくても、選挙違反は「百日裁判」が通例なので、秋口までに有罪確定での連座制適用となれば、10月末の補選実施は避けられない。これに絡んで、政界では河井夫妻を支援した菅官房長官の「電撃辞任説」まで飛び交う状況だ。
衆参の補選実施は政局の焦点の衆院解散時期とも絡むことに加え、不祥事による補選で敗北すれば政権を痛撃する。
それだけに首相らは当面、国会攻防以上に捜査の進展に神経を尖らす日々が続きそうだ【政治ジャーナリスト・泉 宏/「地方行政」2月17日号より】。
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