合意実現が不透明に 米産品の輸入余力乏しく―新型肺炎で経済混乱・中国
2020年02月14日19時41分
米中貿易協議の「第1段階合意」で、中国は米国からの輸入を2年間で2000億ドル(約22兆円)増やすと約束した。だが、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で、国内経済への打撃は必至。内需の落ち込みが米国産品の輸入に影響を及ぼす事態は避けられず、購入目標の達成には不透明感が漂う。
◇経済正常化には時間
新型肺炎で中国経済は混乱が続く。ウイルス封じ込めで人の移動が制限されており、春節(旧正月)連休で帰省した労働者の職場復帰が遅れ、日系企業を含む多くの工場が再稼働を先送りした。当局は封じ込めと企業活動再開の両立を目指すが、正常化にはかなりの時間がかかるとみられる。
成長の柱である消費への影響も深刻だ。既に観光や宿泊、飲食などの分野で企業の経営難が表面化。商店やレストランが再開延期や営業時間短縮を余儀なくされ、消費者の購買意欲も冷え込んでいる。
専門家の間では、早期の封じ込めに成功すれば、景気への悪影響は短期間にとどまり、その後は急回復するとの見方が強い。それでも、今年の経済成長率は昨年(6.1%)から大幅に減速することが確実視されている。
◇米中が緊急協議も
貿易摩擦が激化する前の2017年、中国の米国からの輸入額は1863億ドルだった。これを基準に中国は今年767億ドル、来年1233億ドルを上乗せするとしているが、当初から「非現実的」(日系証券会社)と指摘されていた。
そこに降って湧いた新型肺炎で、中国が合意の見直しを求めるとの観測が浮上している。根拠となるのは、「自然災害もしくは他の予見不可能な事象」で履行が遅れる場合は協議するとの合意文書の規定。中国が新型肺炎をこれに該当すると見なし、米国も同意すれば、協議は可能だ。
ただ、現時点で米国の態度に変化はない。中国の習近平国家主席は今月7日、新型肺炎をめぐってトランプ米大統領と電話会談した。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は会談後、習氏が輸入遅延の可能性に言及したものの、両首脳は「年末から来年にかけて(遅れを)取り戻す」ことを確認したと強調、中国側にくぎを刺した。
◇「第2段階」急がず
今年11月に大統領選を控えるトランプ氏にとって、第1段階合意は選挙戦の重要なアピールポイントであり、新型肺炎で内容が変更されることは受け入れ難いのが本音だ。その半面、産業補助金など中国の構造問題を話し合う「第2段階」については、協議を急がない方針とされる。
一方、今年を「小康社会(ややゆとりのある社会)」実現の年に位置付ける中国は、国内総生産(GDP)を10年比で2倍にする目標を掲げる。実現に必要な今年の成長率は5%台半ばとみられている。達成が困難になれば、習近平指導部の求心力が低下する恐れもあり、威信を懸けてウイルス封じ込めを進め、経済を復調させる決意だ。(北京、ワシントン時事)
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