NYファッション業界の要は生き残れるか? ガーメント地区衰退の危機

2020年02月12日12時37分

【ニューヨークAFP=時事】米ニューヨークのアパレル産業が集まるガーメント地区の残り少なくなった工場に、ミシンの音が響き渡り、アイロンの蒸気が立ち込める。ここではアジア系とラテン系移民を中心とした数千人が働いている。(写真は米ニューヨーク・ガーメント地区にあるフェラーラ・マニュファクチャリング)
 ニューヨーク・ファッションウィークの始まる数週間前から、これらの工場はショーのための高品質な衣服の制作に忙しい。だが、いつまで存続できるのだろうか?
 タイムズスクエアからほど近い高層ビルに囲まれたこの小さな地区は、全盛期の1950年代には数十万人が働いていたが、その数は今では95%も落ち込んでいる。
 法外ともいえるコスト増により、多くの工場が海外へ移転した――移転先は中国ではなく、パリ、ミラノ、ロンドンだ。これら欧州の都市は、ニューヨークよりもファッションウィークの拠点として名高く、政府からの支援も手厚い。
 NPO「ガーメント地区アライアンス」によると、この地区で服やボタン、その他のファッション用品を製造する企業は約400社に上り、約5000人が働いているという。
 「昨年から今年にかけて、多くの企業が撤退した。何社か操業を停止すると、ドミノのように広がった」と、両親と共同でフェラーラ・マニュファクチャリングを所有するガブリエル・フェラーラさん(29)は語る。
 フェラーラさんの両親は30年前に同地区に衣料品工場を設立した。だが、フェラーラさんはこの地区が、衣料品の中心地として生き残ることはできないだろうと考えている。
 フェラーラさんは、2020年最初のニューヨーク・ファッションウィークの3週間前までに、最大75人の縫製職人を雇用した。

■もはや手遅れ
 ガーメント地区の店舗が閉鎖されると常連客が減り、多くの店舗がファッションデザイナー以外の顧客に切り替えなければならなくなった。現在は主に、ブロードウェーや映画、ネットフリックスやアマゾンプライムなどの番組向けに衣装を制作している。提供先には、ガーメント地区の黄金期を舞台にしたドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」も含まれている。
 マンハッタンのゲイル・ブリュワー区長にとって、数千人規模の高収入の雇用を提供する同地区の存続は避けられない課題となっている。また、ニューヨーク市議会のコーリー・ジョンソン議長は、ガーメント地区は「ニューヨークのファッション経済の要となっており、経済をけん引すると同時に文化的な支えともなっている」と話す。
 一方、ニューヨークのビル・デブラシオ市長は2018年、地主に対し衣料品メーカーへの場所提供を義務付けていたゾーニング規制を廃止し、ガーメント地区の支援者らを憤慨させた。同市長はまた、ブルックリン多額の資金を投入し、新たな衣料品生産拠点を建設する計画も発表した。
 ブリュワー氏とジョンソン氏はこれに反発し、ニューヨーク市に対し、衣料品メーカーに不動産を貸している所有者の減税を求めた。さらに両氏は、衣料品メーカーと小売業者が入居できる建物を購入するための資金を獲得したが、建物自体はまだ見つけられていない。
 フェラーラさんはもはや手遅れだと嘆く。「計画実行に時間がかかり過ぎた」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕

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