大西一史・熊本市長
「あらゆる人に分かりやすく、利便性の高い交通体系を目指す」。熊本市の大西一史市長(おおにし・かずふみ=52)は、2期目のマニフェスト(政策綱領)に路線バスなど公共交通の再編や熊本都市圏の道路整備を掲げている。市中心部は慢性的な交通渋滞に悩まされており、「早く解決しなければ経済が停滞し、人々の暮らしに悪影響を与える」と、交通環境の改善に力を入れる。
熊本県内は鉄道網が乏しく、路線バスが公共交通の中心を担ってきた。だが1970年代のピーク時に比べ、バス利用者は4分の1まで減少。移動手段の約7割を自動車が占め、「渋滞箇所数は3大都市圏を除いて政令市でワースト1位」。特に市中心部はバス事業者5社と市の路面電車(市電)が重複するため、非効率な運行が続いていた。
公共交通網の見直しを進めるため、2018年11月の再選直後から各社に再編の議論を促してきた。バス事業者5社と県、市で構成する検討会が19年3月に発足。その後、協議を重ね、今年1月には、重複する路線の見直しや運賃調整などを行う共同経営に移行することで5社が合意した。「定時性や速達性に優れていれば、バスを選択する人が増え、車は選択しない」と渋滞解消に期待を寄せる。
19年秋には、フランスとイタリアに出張。次世代型路面電車(LRT)などの公共交通に加え、郊外の駐車場に車を止めてバスや鉄道に乗り換える「パークアンドライド」や、シェアサイクルを連携させた交通体系を視察した。ミラノの事例を参考に「市電の軌道内に空港リムジンバスを走らせることができれば」と語る。
この他、コンビニなどと連携し、イートインスペースをバス停の待機場所として提供する取り組みを開始。市内25カ所に広がっており、「何かあっても高齢者、障害者の方は安心。店にとってもお客さんになり得る」と太鼓判を押す。
一方、道路網の整備についても、国や県と検討を進めている。高速道路のインターチェンジから主要駅までの所要時間は平均24分と、政令市で最長。交差点や車線の改良工事にも着手する予定というが、「都市高速のような高架化された道路網を大胆に整備していく」と将来構想も描く。
「拠点を結ぶ道路網、バスや市電などの交通網を最適化すると同時に、自動車に偏重した交通事情をいかにリバランス(配分調整)していくか。総合的に取り組まないと解決しない」。長年積み残されてきた課題に向き合う2期目の覚悟をのぞかせた。
〔横顔〕熊本県議会議員を経て、14年に市長に就任した。特技はドラム演奏。毎年2月の熊本城マラソンでは、応援の吹奏楽隊に混じってドラムをたたく姿が見られる。
〔市の自慢〕水道水は地下水で賄っており、「蛇口をひねれば、天然のミネラルウオーター」。保全の取り組みが評価され、10月のアジア・太平洋水サミットの開催地に。(2020/02/07-08:30)
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