企業業績に暗雲 拡大続く新型肺炎―消費・生産で打撃
2020年02月07日19時02分
企業業績の先行きに暗雲が垂れ込めている。米中貿易協議の「第1段階」合意で両国の摩擦悪化懸念が後退したのもつかの間、中国を震源地とする新型肺炎が1月以降、世界に拡大。企業は中国の訪日旅行客激減や工場稼働停止による消費や生産への打撃といった新たな難題に直面している。
◇読めないインパクト
SMBC日興証券によると、東証1部上場の3月期決算企業が6日までに開示した2019年4~12月期決算は、全体でみると減収減益だった。米中摩擦や台風などの自然災害、昨年10月の消費税増税が影を落とし、通期予想も126社が経常利益を引き下げ、上方修正した78社を大きく上回った。
新型肺炎に関し、「インパクトが読めない。何が起きるか分からない」(トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長)とする企業が多い中、小売りや運輸業界を中心に影響が鮮明になりつつある。
三越伊勢丹ホールディングスは20年3月期の連結純利益見通しを従来予想から70億円に半減。増税や暖冬による売り上げ低迷に加え、新型肺炎による訪日中国人客減少の影響が出ており、「一定程度のリスクを織り込んだ」(金原章執行役員)。日本航空は予約キャンセルが相次ぎ、中国便を一部運休。旅行や出張を手控える動きが広がり、「中国線以外に波及しないか注視する」(菊山英樹専務)と身構える。
◇供給網把握しきれず
各社が警戒するのは、中国国内の工場停止の長期化によるサプライチェーン(部品供給網)の寸断や世界経済への影響だ。三菱ケミカルホールディングスは、工場の操業開始が遅れれば「30億円程度の減益になる」(伊達英文最高財務責任者)と予想。ソニーの十時裕樹専務は、製品の供給・出荷に支障が生じるほか、映画や音楽関連で「劇場閉館のリスクもある」と指摘する。
生産体制の維持に向け、ニコンの岡昌志副社長はカメラの部品調達で「代替策の検討を進めている」と説明。豊田自動織機やパナソニックも代替措置検討の必要性に言及した。ただ、サプライチェーンは国内外で複雑に入り組んでおり、「末端まで把握するのは困難」(SUBARUの岡田稔明専務)との悩みも聞かれる。
◇来期にも影響か
不透明感が増す中、企業決算では次世代通信規格「5G」事業に明るさが見られた。オムロンの井垣勉執行役員は「スマートフォンや基地局などへの投資が想定以上に早い。潮目が変わった」と説明。村田製作所の竹村善人常務も「5Gや車の電装化の需要は強く、今後5~10%の売り上げ増は期待したい」と強調する。ただ、5G関連の設備や部品は中国で生産されているものが多く、安定供給されるかどうかは新型肺炎の動向に大きく左右される。
SMBC日興の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは企業業績について「新型肺炎の影響がどのくらい長引くかにかかっている。来期(21年3月期)の見通しも要注意と言わざるを得ない」と警鐘を鳴らす。
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