島袋俊夫・沖縄県うるま市長
県内最大規模の「全島闘牛大会」などで知られる沖縄県うるま市は、2市2町の合併による発足から4月で15年を迎える。2009年から市政のかじ取り役を務める島袋俊夫市長(しまぶく・としお=67)は「企業誘致や財源強化などの流れはできた」と述べ、合併以来進めてきた行政改革に手応えを感じている。
就任当初、最大の課題は「失業率の改善だった」という。10年の国勢調査で、市の失業率は18.2%と県内ワーストを記録。若年層の失業率や母子家庭の割合も高く、国民健康保険特別会計は毎年赤字が続き、05~17年度に行った一般会計からの法定外繰り入れは計約114億円に上った。
このため、IT関連企業の誘致に取り組むなど、雇用の場を確保した。それにより、15年の失業率は7.5%と大幅に改善。国民健康保険から被用者保険に移った人の増加などで、最大約24億円あった国保の累積赤字は17年度になくなり、法定外繰り入れも18年度に解消された。
現在、注力するのは、保育所整備と子どもの居場所づくりだ。18年には市立石川中学校のランチルームを改修し、公設民営の小規模保育所を開設した。園児に本の読み聞かせをするなど、中学生の職場体験の場として活用している。
子育て関連施策で集大成と位置づけるのが、複合施設「うるま市子どもステーション(仮称)」。児童発達支援センターや親子通園施設、児童館、小児科、内科、薬局などの複合施設を公有地に整備するもので、22年度の開所を予定している。
市によると、乳幼児健診などで発達上の遅れを指摘された児童が、市外の専門医を受診後、障がい認定を受けるまで数カ月以上かかるという。「ステーションができることで、親も早めに対応できる。子どもたちの救済にもつながる」と意義を強調する。
旧市町の合算額で算定した地方交付税が配分される合併特例措置が15年度に終了し、市の交付税は段階的に縮減。21年度からは市本来の交付額となり、「30~35億円程度の減額」が予想されている。行政改革大綱や公共施設等マネジメント計画に基づき、人員整理や資産の有効活用を進めてきたが、「よりスリムで効率的な財政運営を目指さないといけない」と話す。
市は五つの有人島を抱え、離島振興にも力を入れる。市全体の人口は25~30年ごろまで増加が見込まれるが、5島はこの10年間で約2割減少。16年度の調査では約280戸の空き家が確認された。このため、市は移住検討者に空き家を貸し出す事業を実施。18年度は59件の相談があり、11組の移住が決定した。
地域の活性化に向けて注目しているのが、「角川ドワンゴ学園」が伊計島に開校した通信制高校「N高等学校」。通常の授業はインターネットを通じて行われるが、年1回、旧伊計小・中学校校舎でスクーリングを実施。対面授業のほか、サトウキビ農業、伝統行事「ハーリー」体験、地元住民との交流など課外活動が行われている。市長自身も当初は疑心暗鬼だったが、現在は「島に定期的に人が来るので、活気が出てきているし、新しい風を感じている」と笑顔を見せた。
〔横顔〕旧具志川、うるまの両市議会議長を経て市長に就任。闘牛や伝統工芸を見るのが楽しみで、週末は畑仕事で汗をかく。
〔市の自慢〕闘牛が盛んで、19年10月には「闘牛のまち」を宣言。沖縄本島から平安座島、浜比嘉島などに続く全長約5キロの「海中道路」は、両側に鮮やかなコバルトブルーの海が広がる。(2020/02/04-08:30)
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