戸敷正・宮崎市長
「宮崎駅を中心に、陸海空どこからでも大勢の人が集まる一大拠点をつくる」と力を込めるのは、宮崎市の戸敷正市長(とじき・ただし=67)。宮崎駅西口にJR九州などの大型施設が今秋開業。それに合わせて市中心部への回遊性も高める。さらに一大拠点化の切り札として、駅東口に本格的なアリーナ建設を市が主導して進める方針だ。
戸敷市長は、市街地の再活性化策として、10年間で企業誘致などにより3000人の雇用を生み出す施策「マチナカ3000」を打ち出し、成果を上げつつある。一方で、長年JR九州に働き掛けてきた駅前商業・複合施設が、同社と地元の宮崎交通が連携して今秋にオープンする予定。最新のオフィス供給によって企業誘致が期待できる上、駅を中心としたにぎわい創出の機運が一気に高まる。
戸敷市長は、JR九州幹部が宮崎を訪れた機会などを逃さず、当時の社長らに直談判し、駅周辺の魅力アップを力説してきた。開業を控え「宮崎の拠点が民間からスタートするならば、行政も動かなければならない」と気を引き締める。駅前で生まれるにぎわいを、約800メートル離れた百貨店や飲食店が集まる従来の中心部に呼び込もうと、低速の公共電動車「グリーンスローモビリティ」の実証実験を行い、その効果を確認。本格実施に向け検討中だ。多くの利用が見込まれるため、タクシー業界が反発する可能性もあるが、「市全体では、地域に根差した交通として乗合タクシーを広め、高齢者の安全向上とタクシー利用促進を政策として進めている」という。市、タクシー業界連携に既に手を打っている格好だ。
また、拠点づくりの切り札として整備する「アリーナ」は5000席程度の規模で、早ければ2023年度の開業を目指す。大物アーティストのコンサート、屋内のプロスポーツ、MICE全般の利用が見込まれる。市内に大型屋内施設がなかったため、戸敷市長はこれまで悔しい思いをしてきたという。「若い人は『嵐』など人気者を観に年間何万人も福岡や大阪に行く。屋内スポーツはプロの試合ができないために、選手育成ができないどころか、どんどん出ていく」。消費や人材の流出は嘆かわしいほどだという。
アリーナは民設民営を想定。「ノウハウのある県外企業を誘致し市内企業にも出資してもらう。年間3分の1は市が借りる形で運営企業の経営を支えるとともに、華やかな舞台として市民も活用できる。市が建設する場合に比べ財政負担は少なく、議会の理解も得られるはずだ」と自信を示す。
九州地区の集客は、福岡がトップランナーとされるが、戸敷市長は「福岡と違い、宮崎はアリーナが駅に隣接。JR線はもちろん、空港や港からのアクセスも抜群の宮崎の方が便利になる」として、九州有数の集客拠点づくりを目指す。
〔横顔〕佐土原町(現宮崎市)職員、同町長を経て10年から宮崎市長。町職員時代から企業誘致の使命感に燃える。最近では地元民放での対談をきっかけに、世界的航空部品メーカーの大型工場誘致に成功した。
〔市の自慢〕宮崎の四つの「源」が誇り。神話は日本の源、食は命の源、スポーツは躍動の源、花は癒やしの源。これら源を戦略として全国に打って出たいという。(2020/02/03-08:30)
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