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〔ゼノブレインAI解析〕新型コロナウイルス、「爆買い」不発が最大の業績悪化要因

2020年02月03日09時38分

 中国で発生した新型コロナウイルスが世界経済に及ぼす影響が懸念されているが、AI(人工知能)はこの問題と日本企業の業績との関係をどのように予測するのか。ニュースと企業決算をAIで解析するサービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」が新型ウイルス関連のニュース分析から導き出したシナリオは「マスク需要増加」「医薬品需要増加」「中国の旅行需要減少」など増収シナリオ、減収シナリオが入り交じるが、最も大きな影響があると想定したのは「訪日中国人減少→化粧品需要減少」によるドラッグストアへの打撃だった。中国での新型ウイルス感染者は2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を既に上回っており、世界保健機関(WHO)は緊急事態を宣言。今後の動向が注目される。
 野村総合研究所のエコノミストは、SARSのケースを基に今回の新型ウイルスの影響を分析。中国人を含む訪日外国人減少が、日本の国内総生産(GDP)を0.14%、金額では7760億円押し下げると試算した。昨年に日本を訪れた外国人約3188万人のうち、中国人は約959万人に上り第1位だ。SARS流行時に比べて訪日中国人の数は20倍以上に増えており、その分ダメージも大きくなると予想される。
 ゼノブレインが示した複数のシナリオのうち、企業への影響が最も大きいと予測されたのも「訪日中国人減少」だった。春節(旧正月)の大型連休中は例年多くの中国人が日本を訪れるが、中国政府は団体客の海外旅行を禁止する措置を実施。最悪のタイミングでの新型ウイルス発生になった。
 来日した中国人による「爆買い」は経済に大きな恩恵をもたらしてきた。購入商品は、化粧品、おむつ、健康食品、医薬品、家電製品など多岐にわたる。ゼノブレインの解析結果では、減収が想定される候補として、中国人に人気のある商品を扱う企業がずらりと並んだ。中でも影響が大きいと予測されたのが「訪日中国人減少→化粧品需要減少→企業の減収」のシナリオ。影響を受ける度合いが大きい企業としてドラッグストア各社がピックアップされた。減収の影響スコアは「20」前後(最大値は100)と、中程度の影響があるとの予測になった。
 新型コロナウイルスによる肺炎患者数拡大に伴い東京株式市場では、インバウンド(訪日外国人旅行者)で収益を上げるANAホールディングスなどの航空会社や東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド、資生堂など化粧品メーカーの株価が急落した。一方、マスクの製造に関係するシキボウ、アゼアス、川本産業などが人気化。中国ではマスクの製造が追いつかず、日本で購入する中国人が大幅に増えているため、こうした企業の株に買いが集まった。ゼノブレインも「中国のマスク需要増加→企業の増収」のシナリオを示し、これらの企業をピックアップしている。ただ、増収への影響度は「化粧品需要減少」に比べると小さかった。マスクは単価が安く、インバウンド需要の落ち込みによる影響の方が打撃が大きいと判断したようだ。
 ゼノブレインは「新型ウイルス発生→医薬品需要増加→企業の増収」のシナリオで製薬会社にプラスの影響があるとの予測も示したが、いずれの企業も中国での販売比率が高くないため、スコアは「LOW(影響度小)」に分類される「1.0~3.8」の水準にとどまった。
 今回の新型ウイルスによる影響がどの程度まで膨らむかは、この問題が長期化するのか、短期間で終息するかで大きく変わってくる。AIの予測結果も踏まえて、今後の動向を注視する必要がある。

【注】ニュース解析結果はゼノデータ・ラボ社のAIサービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」によるもので、詳しくはhttps://xenolabo.com/jiji/2020/02/03/へ。本記事は、特定の有価証券や金融商品の売買を勧奨するものではありません。時事通信はゼノデータ・ラボ社に出資しています。

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