県内の一つの核を目指す=夏野修・富山県砺波市長

夏野修・富山県砺波市長

 砺波平野に広がる田園地帯に、屋敷林で囲まれた家屋が点在する散居村。春にはチューリップが咲き誇り、観光客の目を楽しませる。そんな富山県砺波市で、2期目最後の1年に入った夏野修市長(なつの・おさむ=65)は、「課題はやはり人口問題だが、(人口の)急激な落ち込みはなく、次の国勢調査では県内4位の人口規模になるのではと考えている。県内の一つの核として頑張っていきたい」と意欲を示す。

 人口問題をめぐっては、「社会増を支える部分で、先人がつくった遺産が大きく貢献している」と話す。一つ目が1954年にいち早く市制に移行したこと。市内に国、県の出先機関や総合病院などができ、「地域の中心を担うお墨付きを得た」と、その効果を強調する。

 二つ目は「市民の民度の高さ」だ。市内では18カ所の区画整理が行われ、その多くは住民が組織した組合が施工に携わった。地区の住民でつくる自治振興会を中心に昭和30年代から小規模多機能自治が実施されてきた点や、三世代同居を背景とする共働きと高齢者就労率の高さなども代表例に挙げられるという。

 三つ目は「農・商・工のバランス」が取れていること。▽散居村の風景を維持する営みを持つ農業▽東洋経済新報社の「住みよさランキング」でも「大型商業施設の進出が多く、利便性が高い」と評価される商業▽電子部品、飲料、金属加工などの大手メーカーが立地する工業―の均整の取れた産業構造がプラスに働いていると説明する。

 その上で「現在、地価は商用地で横ばい、住宅地は一部上昇するなど安定している。これも地域に魅力、活力がある証拠」と、周辺から人が集まる環境に胸を張る。

 ただ、「進行する少子高齢化の波にはあらがえない部分はある」とも語り、人口減少対策を怠らない。今後、公共施設の見直しを進め、施設ごとに地域や関係団体などに丁寧に説明していく意向だ。

 2017~26年度の10年間を期間とする第2次砺波市総合計画では、10項目から成る重点施策を設けた。「となみ」にちなんで「10WAVEプロジェクト」と銘打ち、子育て応援、魅力情報の発信強化、防災力強化に加え、健康寿命の延伸に向けて高齢者の孤立を防ぎ、社会とのつながりを保つ取り組み「いきいき百歳体操」の普及などにも力を入れる。

 防災関連では、14年7月の深夜1時に発生した豪雨への対応について「市長の責任を痛感した」と振り返る。外は真っ暗で、激しい落雷と雨音。避難指示を出したが故に起こる事故と、出さなかったが故に拡大する被害の両方を心配した。職員と気象レーダーを何度も確認し、気象台にも問い合わせた結果、1時間以内に雨量が衰えると判断し、避難指示は出さなかった。幸い市内に大きな被害は無かったが、「この1時間は本当に長く、胃が痛くなった」という。

 現在、豪雨に対する避難指示は「時間軸に沿った防災行動計画(タイムライン)」に従って出している。それでも「近年は気象変動からくるゲリラ豪雨なども頻繁に発生している。どこの自治体でも、避難指示では悩むことが多いのではないか」と、防災対応の難しさを語った。

 〔横顔〕マンションのベランダにプランターを置き、コメ、麦、大豆、トウモロコシ、タマネギなどを栽培する。「自分では枝豆の出来が良かったと思う。人からはトウモロコシの出来を褒められた」と笑みをこぼした。

 〔市の自慢〕市の花・チューリップ。毎年4月下旬から5月上旬に砺波チューリップ公園周辺で開かれる「となみチューリップフェア」。日本最大規模を誇る「散居景観」。夏の庄川のアユ料理。(2020/01/29-08:30)

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