独自財源で「住んで得になる街」へ=萩原誠司・岡山県美作市長

萩原誠司・岡山県美作市長

 北は鳥取県、東は兵庫県と接し、山間部を中心に豊かな自然に恵まれた岡山県美作市。萩原誠司市長(はぎわら・せいじ=63)は、岡山市長や衆院議員を経て、2014年に地元の要請に応じて市長となり、18年に再選を果たした。2期目の重要施策の一つに掲げているのが「住んで得になる街」。「住民の福祉のレベルを上げることが人口減対策には最も必要だ」と、住みやすい環境づくりに力を注いでいる。

 福祉政策の中で、特に重視するのが「交通福祉」。市内の大半を山林が占める地域特性もあり、「交通弱者を支援するのがとても大切だ」と話す。施策の中でも好評を得ているのが、17年から作東地域で実施し、18年6月から市全域で実施する「タクシー利用補助事業」。免許返納などで車の運転ができない65歳以上の高齢者や、妊産婦らを対象とし、タクシー利用料金の半額(上限3000円)を補助する事業だ。「一定の人数が集まらないとバスは輸送密度が低くなってしまう。方法によっては、タクシーの方がコストを下げられる」と語る。

 一方、「他のまちよりもレベルの高い、実効性ある福祉を提供するには、国の交付金だけでは難しい」と、独自財源をつくる必要性を強調する。中でも注目しているのが、市内で民間事業者による開発が進む太陽光発電だ。市内には、出力10キロワット以上の事業用発電施設が約180カ所あり、19年12月にはパシフィコ・エナジー(東京都港区)が国内最大級となる「メガソーラー」(最大出力25万7000キロワット)を稼働した。

 太陽光発電に対しては「良い面もあるのは承知しているが、住民が災害、自然環境の観点から強い不安を持っている」とし、市は19年6月定例市議会に、実現すれば全国で初となるパネル面積に応じて事業者に課税する法定外目的税を創設する条例案を提出。ただ、市議会が事業者に求めた意見書の提出が遅れ、実質的に議論が始まった12月議会でも継続審査になった。

 実現までには時間を要することが予想されるが、防災対策も含め「普通より安全な街にすれば、住民の福祉の度合いを上げることにつながる。最善の努力をして、新たな財源を確保しようと思っている」と力を込めた。

 〔横顔〕19年5月から中国市長会会長を務める。運動が趣味で、自宅周りの荒れ地を購入し、ジョギングコースにしている。読書家でもあり、『文明論としてのイスラーム』(山内昌之著)などを好んで読む。

 〔市の自慢〕約1200年の歴史を誇る湯郷温泉は、「美作三湯」の一つに数えられる名湯。宮本武蔵生誕の地としても知られる。(2020/01/27-08:30)

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