山口祥義・佐賀県知事
九州新幹線長崎ルート(博多―長崎)が2022年度、佐賀県内で在来線に乗り継いで運行する「リレー方式」で暫定開業する。佐賀県もこの開業効果を高めようと力を入れる一方、県内の在来線区間(新鳥栖―武雄温泉)の整備方式をめぐり、新幹線での整備(フル規格)を望む長崎県やJR九州と、これに反対する佐賀県との間で、意見が分かれる状態が続いている。山口祥義佐賀県知事(やまぐち・よしのり=54)は「速やかに結論が出るということは想定しえない。時間がかかる」と述べ、整備の在り方を慎重に議論していく考えを示す。
長崎ルートに関係する佐賀、長崎両県、国、JR九州の4者の中で、佐賀県のみがフル規格に反対の立場。佐賀県はフル規格を前提とした協議には応じられないとして、4者での協議に難色を示してきた。そうした中、19年12月に山口知事が赤羽一嘉国土交通相と面談。フル規格以外の選択肢の議論を協議内容に含めることなどで、議論開始に向けた調整が進められている。
そもそも、この在来線区間については、新幹線と在来線双方の線路を走行可能なフリーゲージトレイン(FGT)を導入する予定だったため、整備は不要だった。しかし、採算性や車両性能などを理由にFGT導入は頓挫。「速度を落として走行すれば、FGTも可能性があると思っている。フルとミニについては、ほとんど議論が尽くされていない」と述べ、リレー方式も含めた5択での幅広い議論を求めている。
知事自身が一番恐れているのは「協議に入ったが、いつの間にか多数決(になってしまう)みたいな形。これが一番あり得ない。『席に着いたじゃないか』とつかまえられて、前へ進められるのは、佐賀県にとって厳しい状況になる」と、「フル規格派」への警戒感もにじませる。4者協議の決定事項などに関しては、佐賀県の同意が不可欠との認識を示し、協議参加に向けた「担保」の必要性を強調。長崎ルートの整備方式が整う時期についても「期限を切って考えなければいけない課題とは思えない」とけん制する。
新幹線以外の施策では、20年度に注力する施策として、19年8月の大雨被害を例示して災害対策の充実を強調。治山事業や温室効果ガス削減に寄与するプランの実施なども挙げた。
〔横顔〕1989年自治省(現総務省)に入省。総務省過疎対策室長などを経て15年1月から現職。
〔県の自慢〕県北部に面する荒波の玄界灘と、南部に面する穏やかな有明海。特徴が異なる二つの海でとれるイカ、ノリなど豊富な海産物が自慢。有田焼(伊万里焼)や唐津焼など陶磁器の産地でも知られる。(2020/01/24-08:30)
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