担税力ある子育て世代を誘引=広瀬慶輔・大阪府寝屋川市長

広瀬慶輔・大阪府寝屋川市長

 いじめへの対応を行う「監察課」の設置、午前8時から午後8時まで開庁する窓口改革、職員の完全フレックスタイム制導入―。昨年5月に就任した大阪府寝屋川市の広瀬慶輔市長(ひろせ・けいすけ=49)は、これらの施策を全国初の試みとして導入した。こうした対応について「担税力ある若い子育て世代を呼び込む」との目標の下、「バラバラに展開しているように見えて、実は一貫している」と強調する。

 昨年4月に中核市になった寝屋川市は、全国の中核市の中では面積が最小だ。シルバー世代の割合が約3割と大阪府内でも高く、「人口構成をリバランスする必要がある」という。このため、「ターゲットが明確で、エッジの効いた政策を作り込むことで、人口の誘引が可能になる」と施策の狙いを説明する。

 市内の全小中学校で今年4月から、ディベートの授業を週1回程度実施する。既に各校の代表者や教育長ら約50人が先進的な取り組みを進める秋田県を視察し、現在は現場への落とし込みを図っているところだ。「寝屋川の子どもたちの考える力を、他市と比べて明らかに高いところまで引き上げる」と、教育の独自性発揮を目指す。

 昨年10月には、弁護士資格を持つ職員や生活保護のケースワーカーらからなる監察課を市長直轄で設置した。いじめへの対応を教育委員会から移管することで、教職員の働き方改革を推進していくことも視野に入れる。従来の教育的アプローチに加え、加害児童の転校や出席停止を勧告する行政的アプローチ、民事・刑事の弁護士費用を補助する法的アプローチの三段構えで、「いじめを徹底的に抑え込む」と宣言。現在、2018年度に発生したいじめなど約150件が本当に解決しているか精査中だ。

 また、今年4月から市役所の窓口業務を午前8時から午後8時までの12時間に拡大。土曜日も一部開庁し、共働き世帯向けに利便性を向上させる。元客室乗務員を専門職で採用し、窓口での接遇などでサービスの質を上げる。さらに、災害時に小中学校や幼稚園、保育園で子どもを預かる自主登校園制度や、高齢者、妊婦が無料で利用可能な乗り合いワゴンも導入。広瀬市長は「シルバー世代を抱きかかえながら走っていく左手の施策と、若い子育て世代をつかみにいく右手の施策を使い分けていく」と説明する。

 一方で、「市役所本体が旧態依然なまま、よそと違う価値のある政策を発信していくことができるのか」と、職員の働き方改革も進める。昨年10月に導入したフレックスタイム制では、自由な働き方に注目が集まるが、真の狙いは「残業を顕在化させ、業務の平準化を図ること」。20年度予算編成でも成果を重視する新方針で「断捨離」を行い、業務量を圧縮。さらに、人に依存しないような「業務の標準化」も進めている。

 こうした取り組みで職員の残業時間をなくせば、その分を40~70人の新規職員採用や、会計年度任用職員の待遇改善に回すことができる。「総人件費の枠を増やさずに職員数を増やしていく」と目を輝かせる。

 今後カギとなるのは、現在は1カ月にとどまるフレックスタイム制の清算期間の延長だ。「公務員の仕事ほど季節変動があるところはない。民間並みの3カ月で平準化ができれば、財政効果額がもっと大きくなる」と確信する。市で実績を上げながら、「これが実現すれば、全国の自治体の効率性効果は極めて高い」と国にアピールしていく考えだ。

 〔横顔〕影響を受けた人物は橋下徹元大阪市長。「地方行政でも全国に発信する力があると分かり、僕のリミッターが外れた」。ツイッターで連絡をしてきた市外の高校生との面会にも快く応じる。広報紙で企画した「寝屋川市総選挙」の頑張っている人ランキングでは、市長自ら1位に。

 〔市の自慢〕芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹さんや大相撲の大関・豪栄道が市出身。3月下旬からは夜桜のライトアップがまちを彩る。(2020/01/23-08:30)

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