蒲島郁夫・熊本県知事
4月に3期目の任期満了を迎える熊本県の蒲島郁夫知事(かばしま・いくお=72)は、2016年4月の熊本地震発生以来、将来の発展を見据えた「創造的復興」の実現に取り組んできた。被災者の恒久的住まいの確保やインフラ復旧のめどが立ちつつあり、今後は「創造的復興を地方創生につなげ、地域の社会的な特徴を生かして持続可能な社会をつくる」と意気込む。
都市部よりも出生率が高い地方が厳しい現実に直面している点からも、地方創生は国家的な課題だと捉えている。「人口減少で地域経済が縮小し、地域の担い手が都市部に流出、人口減少が加速し、地域経済がさらに縮小する負のスパイラルを止めなければならない」と強調。同時に「熊本と宮崎が競争しても、国全体では改善しない」と、国全体で議論をさらに深める必要があると指摘する。
3月投開票の知事選に4選を目指して出馬する。「市町村が独自にはできない地方創生の取り組みを県が主導していく。取り組みの効果を広域に波及させることで、地域の可能性を引き出したい」。公約には、熊本空港の民営化やJR豊肥線と空港をつなぐアクセス鉄道の整備を中心とした「大空港構想」などを「10の約束」として掲げる。
空港アクセス鉄道については、「沿線に先端企業の集積拠点をつくり、空港がある益城だけでなく、菊池、阿蘇、玉名まで効果を波及させることができる」と説明する。港湾関係では、国際クルーズ拠点として八代港が今年4月に供用を開始。「県内各市町村が観光地としての魅力を高めることができれば、阿蘇や天草、人吉・球磨にもクルーズ船の客を呼び込むことができる」と語り、県主導の港湾整備などの取り組みを、人口減少や少子高齢化への危機感が強い地域の活性化につなげたい考えだ。
また、中九州横断道路の早期整備などにより九州各県とのアクセス改善を目指す。さらに、「県南の若者は『鹿児島に向かって攻めていこう』『鹿児島のお客さんを呼び込もう』という考えを持っている。県境を超えた地方創生も進めたい」と意欲を見せる。
県は昨年11月、職員確保に苦しむ県内市町村や、災害応援で他県に派遣することを前提に、技術職員の採用数を増やすと発表した。40年ごろには少子高齢化がピークを迎え、行政サービスの維持が困難になると懸念される。技術職員の増員は、こうした自治体の「2040年問題」を見据えた対応でもある。
平成の大合併に関しては、「長期的な視点での評価が必要」と前置きした上で、「行政体制が充実し、財政基盤が強化されたことは評価している。だが、住民の利便性低下や職員数減、地域の活力衰退につながったという課題はある」と分析。加えて「合併の有無にかかわらず、人口減少は進む」と指摘し、市町村の行政サービスの維持、向上のため、県と他市町村による垂直補完や、市町村同士の水平補完の推進役を県が担っていく考えを示した。
〔横顔〕地元農協職員から米国に留学し、ハーバード大大学院で政治経済学の博士号を取得。その後、筑波大、東京大で教壇に立ち、08年4月から現職。3期目の任期は熊本地震本震が発生した16年4月16日に始まった。著書に「私がくまモンの上司です」など。(2020/01/22-08:30)
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