高橋勝浩・東京都稲城市長
1960年代の高度経済成長期、大都市圏では勤労者の生活拠点となる住宅が大量に必要となり、1963年に新住宅市街地開発法(新住法)が制定されると、スプロール化を防ぐため、計画的な宅地開発が進められた。首都圏では、住宅公団(現UR都市機構)や東京都、デベロッパーなどが事業を展開、第1号と言えるのが郊外型の多摩ニュータウンだ。その一角となる東京都稲城市の高橋勝浩市長(たかはし・かつひろ=56)は、約半世紀を経て「世代が変わり、今までの公団や都営住宅は時代にそぐわなくなってきた。定住型のニュータウンを目指す」と語る。
高度経済成長期の宅地開発は、大阪で言えば千里、東京では現在の西東京市と東久留米市に広がるひばりが丘団地がはしり。すぐに足りなくなり、東京では多摩の丘陵部を切り開いて宅地が造成された。内風呂、炭でなくガスの炊飯、水洗トイレ、2DKの間取りは当時の若い世帯の夢。多摩ニュータウンの分譲住宅当選は、よほど幸運に恵まれないと難しいとされ、憧れだった。
新住法は「住宅のみ、見た目がいい行儀良いまちが基本コンセプト」で、地区には遊戯系はもとより、商業施設も駅前などを除いて立地しない。このため、「今でも子どもらから、なぜゲーセンないの。渋谷に行かないと繁華街がないと言われることがある」という。タウン造成には同法により税金が投入され、法を踏まえた市条例に基づき、「アパート、長屋は建設できず、二世帯住宅もダメ」という規制は、なお生きている。
ニュータウンの立地・誘致自治体は、いずれも人口増、税収増を期待。ニュータウンのほとんどは郊外型のため、生活の便がいいとは言えず、第一期入居世代の子らは戻らず、多摩でも空き家が目立つ。そこで「定住型で、世代交代できる持続可能な街づくり」を提唱。都庁が「住宅であり、国庫補助金が入っている」と難色を示す中、協議を経て、都営住宅の空き家にNPO拠点を誘致した。二世帯住宅やグループホーム、シェアハウスも条例解釈により、「何とかできないか」と模索中だ。
しかし、規制は存続しており、夢のニュータウンを当てた第一世代が「住宅オンリー」を求め続けるのは自然。条例改正には住民間での議論が必至となる。手をつけるのは容易ではないが、「わたしの任期中に問題提起はしていきたい」と語った。
〔横顔〕早稲田大政経学部卒。85年稲城市役所入庁。11年市長に就任し、現在3期目。趣味はバスケットボール、ゴルフ。座右の銘は「この道より、われを生かす道なし、この道を歩く」。
〔市の自慢〕サッカーJリーグ東京ヴェルディのクラブハウスと練習場がある。住宅地でありつつ、ナシやブドウの生産が盛ん。天然温泉施設もある。(2020/01/21-08:30)
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