塗木弘幸・鹿児島県南九州市長
2019年12月の鹿児島県南九州市長選で無投票再選を果たし、2期目がスタートした塗木弘幸市長(ぬるき・ひろゆき=66)。「1期目は観光と農業に重点を置きながら、子育て世代や高齢者が暮らしやすい街づくりを目標に取り組んできた。ふるさと納税や地方創生事業なども、ある程度の成果を収められた」と振り返りつつ、「2期目は自らの方針を貫き、(政策実行の)スピードアップを図りたい」と抱負を語る。
南九州市は07年12月、頴娃町、知覧町、川辺町の3町が合併して誕生した。特攻隊員の遺品を展示した知覧特攻平和会館や、「薩摩の小京都」と言われる知覧武家屋敷庭園群、切り立った岩壁に仏像や五輪塔が彫刻された清水磨崖仏群など、歴史・文化資源に恵まれ、観光は市の基幹産業の一つとなっている。
しかし、市を訪れる観光客数は減少傾向にあり、てこ入れが急務。塗木市長は「地域資源を生かし切れていない面があった」と指摘。今後、知覧武家屋敷の整備を拡大したり、古民家を宿泊施設として再生したりするなど、観光面の取り組みをさらに強化する方針。「街を周遊し、歴史・文化に触れてほしい」とアピールする。
市のもう一つの基幹産業が農業だ。鹿児島県は静岡県に次ぐお茶の産地で、中でも南九州市は全国最大の荒茶生産量を誇る。17年4月には知覧茶、頴娃茶、川辺茶の3銘柄を「知覧茶」に統一して全国にPR。市内には風光明媚(めいび)な茶畑が広がり、訪れた人々を魅了する。
だが、荒茶価格の低迷で茶業経営を取り巻く環境は厳しい。「お茶農家が多いので、茶業が低迷すると市民に元気がなくなる」と危機感を抱き、「農家の機械化は進んでいるが、今後は茶工場の再編・集約化も図らなければいけない」と話す。国に対しては「農業のビジョンをしっかり示してほしい。農家の収入が安定しなければ、後継ぎもいなくなる」と注文する。
「住みよい街をつくるのが基本政策。そのためには産業が活性化し、収益が上がるようにしなければいけない」と語り、2期目には企業誘致にも注力する。「なかなか難しいが、門戸を広げて力を入れてやっていきたい」。1期目の4年間は市政運営を「勉強」する部分もあったが、「今後はスピードを上げ、行財政改革もさらに進めていく」と力を込める。
〔横顔〕知覧町議会議員、南九州市議会議員などを経て15年の市長選で初当選。「市民と対話しながら、誠心誠意、市民目線で行政運営する」ことを心掛ける。
〔市の自慢〕年間約40万人が訪れる知覧特攻平和会館は、大手旅行サイト・トリップアドバイザーの「日本の博物館ランキング2019」でトップに選ばれた。「薩摩富士」の別名を持つ開聞岳が一望できる番所鼻自然公園は、伊能忠敬が「天下の絶景」と称賛したとされる景勝地。(2020/01/20-08:30)
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