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火種抱えスタート 波乱含みの国会―野党は対決姿勢鮮明

2020年01月20日20時20分

参院本会議で施政方針演説をする安倍晋三首相=20日午後、国会内

参院本会議で施政方針演説をする安倍晋三首相=20日午後、国会内

 通常国会が召集された。安倍晋三首相にとって2021年9月の自民党総裁任期満了を見据えた「政権総仕上げ」を意識する国会となる。社会保障改革や憲法改正など積み残しの課題は多いが、「桜を見る会」問題や「政治とカネ」をめぐる不祥事などの火種も抱える。野党は対決姿勢を鮮明にしており、波乱含みのスタートとなりそうだ。
 ◇「大改革進める」
 「国のかたちに関わる大改革を進めていく。今こそ実行の時だ」。首相は20日のでこう語り、引き続き全力で政権運営に取り組む考えを示した。
 具体的には、年金・医療・介護に関する全世代型社会保障改革を「今年最大のチャレンジ」と位置付ける。政府は今国会にパート労働者への厚生年金適用拡大を柱とする年金制度改革関連法案を提出する。
 医療については、今秋にも予想される臨時国会に、一定程度の収入がある後期高齢者が窓口で負担する医療費を2割に引き上げる関連法案を提出する方針だ。国民の負担増につながる難しい課題だが、首相周辺は来年の党総裁任期切れを念頭に「首相は面倒なことを全部自分でやろうと思っている」と明かす。
 ◇時間との闘い
 そうした大きな懸案を自身の手で片付けようとする首相の「大改革」の本命は改憲だ。演説では「国のかたちを語るものは憲法だ。どのような国を目指すのかの案を示すのは国会議員の責任だ」と強調した。
 首相の盟友である麻生太郎副総理兼財務相は、首相が改憲を後継者に委ねれば実現は遠のくと指摘し、首相の指導力発揮を促しているが、残り任期は1年8カ月余り。今後は時間との闘いとなる。
 首相の意向を受け、自民党は今国会で改憲論議の前提となる国民投票法改正案を成立させ、9条への自衛隊明記などの党改憲案を与野党に提示することを目指す。

 改憲案の取りまとめは「1国会で合意は得られない」(自民幹部)との見方がもっぱら。このため、自民党は今国会で与野党協議を始め、早ければ秋の臨時国会で発議、60~180日間の周知期間を経て来年の国民投票につなげるシナリオを描く。
 しかし、与党の公明党も改憲には慎重なのが本音。さらに主要野党も「安倍改憲」に反対の立場を崩しておらず、歩み寄りの空気は乏しい。
 「桜を見る会」問題やカジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件を受け、政権への逆風は続いている。自民党からは「いばらの国会だ。今のままでは改憲論議も進まない」(幹部)と悲鳴が上がる。
 首相は20日の演説で一連の問題には触れなかった。自民党の石破茂元幹事長は「首相の判断だが、自分であれば違う判断をするだろう」と疑問を呈した。
 与野党には、夏の東京五輪・パラリンピック後の首相退陣や秋の衆院解散などの臆測も流れる。拉致問題や北方領土問題も解決の道筋が見えない中、政権のレガシー(政治的遺産)を残せる保証はない。
 ◇共闘深化見えず
 「国会論戦を通じて政権と社会の行き詰まりを明らかにしていく」。立憲民主党の枝野幸男代表は20日の党両院議員総会でこう語り、首相を徹底追及する考えを示した。
 立憲などの共同会派は同日、IR整備法廃止法案を衆院に提出。これに加え、「桜を見る会」問題や海上自衛隊の中東派遣、自民党の河井克行前法相夫妻の公職選挙法違反疑惑を材料に攻勢をかける方針だ。
 共同会派はこの日、立憲、国民民主両党の国会控室の壁を取り払った大部屋で初の代議士会を開催した。2閣僚辞任や大学入学共通テストの英語民間試験導入見送りなど一定の成果を挙げたとして、昨年の臨時国会での野党共闘を深化させようと意気込む。
 ただ、立憲、国民両党の合流が難航している。「破談」するようなことになれば野党の結束に影響する可能性もあり、与野党攻防の行方は見通せない。

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