井戸敏三・兵庫県知事
「震災の経験や教訓を提言としてまとめ、南海トラフ地震に備えることが重要だ」。1995年発生の阪神大震災から17日で25年。兵庫県の井戸敏三知事(いど・としぞう=74)は、震災の教訓を改めて内外に伝えるとともに、県内ではハード整備やソフト対策を急ぎ、防災への取り組みを加速させる考えだ。
震災から四半世紀の時が流れ、「経験や教訓が忘れられつつあるのではないか」との危機感がある。近年の西日本豪雨や台風19号の被災地での災害対応を見て、「右往左往している」と受け止める。教訓が十分に生かされていないと考え、「もっと発信していかないといけない」と誓う。
このため、震災の経験や教訓を伝える手段として「実践的な提言を2020年の秋にはまとめたい」と意気込む。テーマは「備える」。南海トラフ地震など大規模災害への対策を進める上で、他の自治体にも活用してもらうつもりだ。
県内では防災対策を強化する。津波や高潮、土砂災害に備える計画に基づき、「ハード対策はこの10年間で成し遂げたい」。国の予算を活用して事業化を急ぐ。ソフト対策では、運用を始めたスマートフォン向け防災アプリの活用を促し、住民が事前に逃げるタイミングや場所を決めて記入する「マイ避難カード」の作成を呼び掛け、命を守る行動の徹底につなげる。災害弱者の個別避難計画では20年度、福祉施設の協力を得て作成を後押しする。
一方、震災の被災者支援を担った公益財団法人の阪神・淡路大震災復興基金については「20年度末で店じまいする」。被災者の自立支援金や被災した中小企業への利子補給など116事業で計約3700億円に活用され、「きめ細かくユニークな事業を実施することができた」と評価する。ただ、事業費に充てる資金は約5700万円に減り、実施事業も少なくなる中で役割を終える見込みだ。
「いつまでも復興ではない。(震災から)25年という大きな区切りを迎え、基本的なインフラ事業にある程度、予算を振り向けられる状況になった」と強調。県庁舎の建て替えや神戸市中心部の再開発にも重点を置く。大規模アリーナの整備も検討しており、「思い切ったことをやれないわけではなくなってきた」と、兵庫の将来を見据えた投資に意欲を見せた。
〔横顔〕東大法学部卒。1968年自治省(現総務省)入り。2001年から現職。現在5期目。約1年半後に開かれる「ワールドマスターズゲームズ(WMG)2021関西」には、水泳(平泳ぎ)での出場を宣言。既に練習を始めている。
〔県の自慢〕兵庫県は「五つの国」から成り、各地域の魅力を発信するプロジェクトを展開中。神戸ビーフや明石ダコなど食材の宝庫でもある。昨年導入した「第2県民」制度は登録者数が2万人を突破した。(2020/01/17-08:30)
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