久元喜造・神戸市長
阪神大震災から17日で25年を迎えた神戸市。久元喜造市長(ひさもと・きぞう=65)は「神戸は全く地震の備えのない中で、想像を絶する困難に直面し、いち早く災害に強いまちづくりをスタートさせた」と振り返る。その象徴が「20年をかけて完成した大容量送水管の整備」。今後も先端技術を活用し、災害に強いまちづくりを進化、発信していく考えだ。
大容量送水管は、災害時でも12日分の生活用水を確保できる。「震災直後、避難所も断水して極めて悲惨な状況に陥ったという苦い経験に基づき、神戸が初めて整備した」という。これをモデルに他の大都市にも広がっている。
南海トラフ地震の津波対策も着々と進めている。「レベル1(マグニチュード8クラス)に対応できる防波堤の整備が完了し、今年度中にはレベル2(同9クラス)の対策が完了する」。先端技術を取り入れ、津波や高潮時に水門と防潮の鉄扉を遠隔操作で閉めるシステムも順次導入を始めた。
「先駆的な取り組みを発信することが神戸のできる貢献になる」。同時に「内外の支援を受けて復興してきたからこそ、感謝の気持ちを忘れず、被災地に貢献を行う都市であり続けたい」と考えている。東日本大震災、熊本地震、台風19号の被災地に現在も職員を派遣している。
震災を経験した職員の記憶、教訓を継承していく努力も続ける。昨年4月1日時点で、震災時に入庁していなかった職員は全体の59%になった。東日本大震災の被災地には、震災を経験した職員と若手職員がペアやチームを組んで支援を行った。「実際に自治体の被災地で汗を流すことを通じて、経験した職員の思いが伝わる効果もある」とみる。
近年災害が相次ぎ、市民レベルや地域での防災対策への関心も高まっている。「特に大規模災害の場合には、行政だけでは対応できない部分があるので、市民ぐるみの防災対策は非常に重要」と訴える。
震災後、各地区で設立を後押しした自主防災組織の活動が全国的に知られているが、「地域で温度差はあり、行政としてしっかりと広げていく。自助、共助、公助のバランスの取れたやり方で全体として災害に強い地域をつくっていく」と語る。
復旧と復興、それに伴う財政危機を経て市は今、人口減少に直面している。「震災がなければやらなければいけなかった事業、やることができた事業がある。遅れを取り戻すという決意を持ってスピード感を持って進めていかなければならない」と力を込める。
昨年は神戸空港の規制緩和による新規路線の開設が実現した。空港へのアクセス強化など陸海空の基盤整備、都心・三宮の再整備と、長年の課題だったプロジェクトが動きだしている。都心だけでなく、主要な駅で駅前空間を刷新し、地域間の交流を活発化する施策など、人口減少対策に急ピッチで取り組む。
〔横顔〕現在2期目で、神戸に帰って7年余り。「神戸は戦前から公共交通網が発達していて便利な街だ。都心にタワーマンションを林立させて人口増を図るのではなく、バランスの取れた、人間サイズの街を目指す」が持論だ。
〔市の自慢〕大都市の魅力がある一方、海と山があり、豊かな自然があふれる。「両方の魅力を持っているのが良さ」という。(2020/01/17-08:30)
特集
トップインタビュー
「みんなが笑顔」実現に全力投球=内野優・神奈川県海老名市長
(02/21 08:30)就任1年「結果出してなんぼ」=長崎幸太郎・山梨県知事
(02/20 08:30)聖火で町全体盛り上げる=世利良末・福岡県志免町長
(02/19 08:30)県勢浮揚へ「まずは経済活性化」=浜田省司・高知県知事
(02/17 08:30)子育て日本一と「シビックプライド」=西岡真一郎・東京都小金井市長
(02/13 08:30)利便性の高い交通体系へ=大西一史・熊本市長
(02/07 08:30)ふるさと納税で目指す名刀里帰り=武久顕也・岡山県瀬戸内市長
(02/06 08:30)市政に先進技術を積極導入=宮元陸・石川県加賀市長
(02/05 08:30)合併15年、行政改革に手応え=島袋俊夫・沖縄県うるま市長
(02/04 08:30)集客拠点づくりへ全力=戸敷正・宮崎市長
(02/03 08:30)辺野古移設「必要性失われた」=玉城デニー・沖縄県知事
(01/30 08:30)県内の一つの核を目指す=夏野修・富山県砺波市長
(01/29 08:30)日韓交流「礎を確かにできた」=平井伸治・鳥取県知事
(01/28 08:30)独自財源で「住んで得になる街」へ=萩原誠司・岡山県美作市長
(01/27 08:30)長崎新幹線、時間かけて議論を=山口祥義・佐賀県知事
(01/24 08:30)「自然と、スポーツアイランド」=三辻利弘・東京都大島町長
(01/23 08:30)担税力ある子育て世代を誘引=広瀬慶輔・大阪府寝屋川市長
(01/23 08:30)地域の特徴生かし地方創生=蒲島郁夫・熊本県知事
(01/22 08:30)ニュータウン、定住型に=高橋勝浩・東京都稲城市長
(01/21 08:30)大学誘致で街の活性化を=山本亨・東京都墨田区長
(01/21 08:30)スピード上げ政策実行=塗木弘幸・鹿児島県南九州市長
(01/20 08:30)災害に強いまちづくり発信=久元喜造・神戸市長
(01/17 08:30)震災25年「教訓生かし備える」=井戸敏三・兵庫県知事
(01/17 08:30)「スポーツ」「教育民泊」で地道に=島袋秀幸・沖縄県伊江村長
(01/16 08:30)「正直な行政」を区民へ=斉藤猛・東京都江戸川区長
(01/15 08:30)サッカーでまちづくり=小嶋崇嗣・宮崎県新富町長
(01/14 08:30)道政課題「人生背負い判断」=鈴木直道・北海道知事
(01/14 08:30)頻発化する災害へ対策万全に=福田富一・栃木県知事
(01/10 08:31)全世代・全員活躍へ構想=信貴康孝・京都府久御山町長
(01/10 08:30)より災害に強い県に=阿部守一・長野県知事
(01/08 08:30)コラム・連載