島袋秀幸・沖縄県伊江村長
2018年度に観光客数が1000万人を超えた沖縄県。全県挙げて観光振興に取り組む中、本島北部の本部半島沖合に位置する一島一村の離島、伊江島も、年間入域観光客数を現行の13万人から25年に18万人に引き上げる目標を打ち出した。対岸の本部港(本部町)に大型クルーズ船の寄港計画があり、実現すれば訪日外国人(インバウンド)の増加で目標値を大幅に上回る可能性もある。島袋秀幸村長(しまぶくろ・ひでゆき=67)は「外国人を取り込んで観光客を増やすという考えはある。ただ、過度な期待はせず、まずは地道に身の丈に合った観光地を目指した取り組みを行っていきたい」と強調する。
伊江島は、花卉(かき)、葉タバコ、島ラッキョウ、サトウキビ、肉用牛など農業・畜産業が盛んな地域として知られるが、観光はこれらに次ぐ基幹産業として育ちつつある。島袋村長は「最近は第1次産業と提携・連携した教育民泊が好調。これに加えて野球を中心としたスポーツコンベンションによる観光を新たに推進していきたい」と展望を語る。
一般家庭に泊まり、島の生活を体験する「教育民泊」については、関東・関西を中心とする本土から年間約4万5000人の中高生が訪れる。「民家1軒当たり3~5人の生徒を受け入れ、家業を体験してもらい、一緒にサッタテンプラ(サーターアンダギー)を作ったり、冬になるとサトウキビの収穫をしたりする」。島民との交流を通して、通常の修学旅行では得られない貴重な体験ができるため、実際に島を訪れた教師や生徒の評判は上々だ。
一方、スポーツコンベンションに関しては、島東部に全面人工芝の野球場、多目的屋内運動場など関連施設を整備。社会人野球の日立製作所が17年から3年連続で春季キャンプを実施しており、来年からはミキハウスも合宿を行う予定となっている。「取りあえずは野球に特化し、そこで実績を積んで他のスポーツにもシフトしていきたい」。大学、高校野球部の合宿も誘致しており、こちらも着実に実績を上げている。
好調な観光が地域経済をけん引しているものの、他の離島と同様、人口減少が大きな悩みの種となっている。これまでも5人目以降の出産に100万円を支給するなど自然増を促す子育て支援に力を入れてきたが、「来年度から移住・定住コーディネーターを配置し、社会増の取り組みも強化する」方針だ。
島内には1975年の沖縄海洋博に合わせて供用を開始した県管理の伊江島空港があるが、長らく定期便が就航しておらず、休眠状態にある。島袋村長は「空港を沖縄本島北部のリゾート観光の玄関口」として活用すれば、地域活性化の起爆剤となり、人口減も解決できると期待する。
「沖縄に来る観光客の半分、500万人は対岸の美ら海水族館がある海洋博公園を訪れている。島からはフェリーで30分の距離。空港が利用できれば交通の利便性は大きく向上する」。米軍の制空権が絡み、一筋縄ではいかない問題だが、今後、県に対する要請活動に本腰を入れる考えだ。
〔横顔〕1977年伊江村役場入り。総務課長などを経て助役、副村長を歴任。13年4月に初当選した。
〔村の自慢〕島のシンボルは「タッチュー」の愛称で知られる城山(ぐすくやま)。特産品はジーマミ(落花生)、黒糖、島ラッキョウなどのほか、17年に発売した地元サトウキビで作るラム酒。(2020/01/16-08:30)
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