「正直な行政」を区民へ=斉藤猛・東京都江戸川区長

斉藤猛・東京都江戸川区長

 「ここにいてはダメです」。昨年5月に公開されたハザードマップで、表紙に書かれたストレートな表現が話題になった東京都江戸川区。斉藤猛区長(さいとう・たけし=56)は「正直過ぎるという意見をもらったが、事実を伝えることが重要だと思った」と話す。

 江戸川区は、面積の7割が海抜ゼロメートル。このため、「先々代区長の公約は『長靴を履かなくてもいい街』だった」という。昨年の台風19号では、幸い大きな災害に見舞われることはなかったが、「今まで以上に、さまざまな地域のつながり、自助、公助、共助、時代に合わせた街づくりにしていかなければならない」と、改めて防災力アップに向けて気持ちを引き締めている。

 高齢者に対する施策もユニークだ。区では65歳以上の人を「高齢者」ではなく、「熟年者」と呼んでいる。「人生100年時代だが、支えられる方にも支える側になるような転換はある。コインの表裏のようになっている」という発想がベースにある。

 こうした考え方に基づき、認知症の区民が活躍するカフェを、区が後援し、地域と学校の連携によって開設した。そこで働く認知症のスタッフが注文を取った際、オーダーを記憶にとどめておくことができず、注文と違う商品を出してしまう場合もある。だが、客も事情を分かっているため、いわゆる「注文を間違える料理店」のようなカフェになっているという。

 このカフェには、認知症の人にとって交流や生きがいにつなげられるようにとの願いが込められており、「支えるだけ、支えられるだけの一方通行じゃない地域にしたい」と力を込める。

 江戸川区は、今年3月に2100年までの人口推計を独自に出す予定だ。「きょう生まれた子どもは2100年を迎える。人口半減社会、超高齢者社会になったとき、『行政ができるのはここまで』というのを示していかないと、不誠実じゃないかと思う」と指摘。間近に迫った公表を控え、「行政としてこういう将来像が見えてくる、というのを伝えなければいけないし、推計を出すことで、どういった化学反応が出るのかというのをぜひ議論していきたい」と意気込んでいる。

 〔横顔〕江戸川区職員を経て19年4月、区長に就任。趣味はラグビー観戦。座右の銘は「本気でやれば何でも楽しい」。

 〔区の自慢〕公園や緑が多く、子育てがしやすい街。(2020/01/15-08:30)

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