福田富一・栃木県知事
2019年の台風19号で甚大な被害を受けた栃木県。県内に19ある地域気象観測システム(アメダス)観測点のうち13の観測点で1日の降水量が過去最高を更新するなど、広範囲で記録的な豪雨となった。福田富一知事(ふくだ・とみかず=66)は「これからの時代、頻繁にこういう災害が起こると常に考えながら、減災・防災対策、避難対策、危機管理をやっていかねばならない」と強調する。
県内では、台風19号で4人が死亡、1万3000棟超の住家が損壊し、計470棟で床上、床下浸水した。農業被害額は約170億円、企業などの被害額は約190億円に上った(いずれも19年12月24日現在)。災害廃棄物は概算で約10万トン発生。処理業者とのマッチングや県外処理の調整を急ぎ、「(公費解体分を除き)発災から1年以内での処理完了を目指す」と語る。
河川では堤防の決壊が相次ぎ、治水機能の向上が今後の課題となる。河川の拡幅や掘り下げなどの改良復旧事業を積極的に活用する方針で、「活用できないところも堤防強化や堆積土砂の除去を行い、効果を最大限高める」と万全を期す考えだ。
台風19号では、浸水想定区域に指定されていない足利市の地区で、避難中に乗用車が水没して女性が死亡した。こうした事態を受け、ハザードマップの見直しも急務となっている。福田知事は、マップ作製が義務付けられていない小規模河川も含め、県が20年度中に簡易的な浸水想定区域図を作って公表し、市町のマップ作製を支援する考えを示す。増水を監視する装置がない河川には水位計カメラなどを設置する方針で、「被害がなかったところでも対策を進め、今後の台風に備えたい」と力を込める。
一方、65歳以上の高齢者人口がピークとなり、さまざまな社会問題の発生が懸念される「2040年問題」を見据えた対応が今後求められる。第32次地方制度調査会で議論が進む「圏域行政」に関しては、「福祉、衛生、消防、防災、インフラ整備といった行政サービスについて、単独での維持に支障が生じる可能性がある。(市町村が)自主的、主体的な判断で広域連携を図る必要性に迫られるのではないか」と述べ、県が広域連携の取り組みを主導するよりも、市町の判断を踏まえて支援する意向だ。
行政サービスの維持に欠かせない職員の確保も課題になっている。19年度の通常の行政職採用試験(大卒程度)では、申込者が初めて500人に満たず、土木職などの技術職員も減少傾向だ。特に技術職員については「今回の台風で被害が大きかった地域に集中投入し、前線で活躍した。今後の災害の発生を考えると、さらなる確保が喫緊の課題」と指摘。採用方法だけでなく、情報発信の多様化も必要との認識を示す。
12月に4期目の任期満了を迎える。15年間の実績について「優良企業の誘致もある程度進み、1人当たり県民所得も全国3位まで上昇した」と成果を強調。去就については「新年度予算の策定状況や選挙日程を勘案しながら、考えてきた自分の思いを関係者に伝えたい」と、明言を避けた。
〔横顔〕県職員を退職後、宇都宮市議会議員、栃木県議会議員、宇都宮市長を経て04年に知事就任。座右の銘は、政治家としては「先憂後楽」、一個人としては「受けた恩は石に刻み、かけた情けは水に流せ」。
〔県の自慢〕那須町の御用邸や高根沢町と芳賀町の御料牧場など、皇室ゆかりのスポットが多い。昨年の大嘗祭では新穀を供える産地に選ばれ、県オリジナル品種「とちぎの星」を献上した。(2020/01/10-08:31)
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