阿部守一・長野県知事
長野県は昨年10月の台風19号で、千曲川や支流の氾濫によって広範囲の浸水被害を受けた。阿部守一知事(あべ・しゅいち=59)は「被災された方々には、復旧の原則である原状回復では不安感をぬぐい去れない方々もいると思う。国や市町村と連携して地域の考えを十分にお伺いしたい」と強調。県は国や市町村と会議を設置して治水対策を検討しており、「より災害に強い形になる復興を目指したい」と決意を示す。
大規模な浸水被害を踏まえ、治水対策について「幅広く考えないといけない。氾濫を防ぐ観点では、流域全体を見渡す必要がある」との認識を示す。その上で「災害への対応を振り返りながら、地域防災計画の中に反映すべきものを反映したい。必要なものは予算化し、教訓を踏まえながら取り組みたい」と話す。
一方、県は12月に地球温暖化対策に積極的に取り組む方針を示している。県議会の決議を受けて「気候非常事態宣言」を発表。2050年に二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする決意を示した。阿部知事は「美しい豊かな環境を守ってきた県。世界の地方政府と連帯して取り組みを進めることが求められている」と説明する。
地球温暖化に関し「台風19号は気候変動も背景にあると思う」と分析する。「気候変動の抑制・緩和と、起因する現象への適応の両面で対策を取り、県の環境エネルギー戦略の見直しで、具体的な取り組みを考えたい」と語る。
さらに「建築物を建てる際に、環境エネルギー性能や自然エネルギー導入の検討を求める制度創設など、これまでの県の進んだ取り組みを強化する観点も必要」と指摘。県は自宅や事業所が太陽光発電や熱利用に適しているかを示す「ソーラーポテンシャルマップ」を公開しており、「ぜひ活用いただけるよう働き掛けたい」とアピールする。
19年には、県を内外に売り込む「長野県営業本部」を県庁に立ち上げた。自身も中国、ベトナム、タイを訪問し、県産品などのトップセールスに汗をかいた。その中で「国によってニーズもさまざま。地域に応じた取り組みを考えないといけない」という印象を持ったという。「県内には高品質で、それほど量を生産していない物が多いので、富裕層をターゲットに海外への戦略を組み立てたい」と意気込む。
県政を推進するに当たり、先端技術も積極的に活用していく方針だ。「県の業務ではロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)などによる効率化、交通では次世代交通サービス『MaaS(マース)』も出てきている。新しい技術を生かして地域の活性化につなげたい」と意欲を示す。IT産業で人材の集積を目指す「信州ITバレー構想」に沿って「人材の育成、誘致にも力を入れたい」考えだ。
〔横顔〕東大法学部卒業後、自治省(現総務省)に入省。10年に知事に初当選し、現在3期目。同県小諸市の自宅に太陽光発電装置を設置している。(2020/01/08-08:30)
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