【点描・永田町】「側近連続辞任」で菅氏に逆風
2019年11月17日19時00分
菅原一秀経済産業相と河井克行法相の連続辞任で、菅義偉官房長官に逆風が吹いている。「政治とカネ」絡みで閣僚辞任に追い込まれた菅原、河井両氏が菅氏の側近だからだ。
新元号発表で「令和おじさん」として人気が急上昇し、ポスト安倍の有力候補に躍り出た菅氏だけに、今回の側近の不祥事に「出る杭(くい)は打たれる」との格言通り、野党だけでなく自民党内からの風圧も強まりつつある。
7月参院選での与党勝利を受けて、9月11日に発足したのが第4次安倍再改造内閣。安倍晋三首相が掲げた「安定と挑戦」のうちの“挑戦”を託された13人の初入閣組の中で、“菅人事”と注目されたのが菅原、河井両氏の主要閣僚への抜擢(ばってき)だった。
両氏は無派閥ながら、それぞれが「菅グループ」のまとめ役で、永田町では「菅氏の強い推しで入閣した」(閣僚経験者)との見方が支配的だった。
菅原氏は財務、経産両省副大臣など、河井氏は自民党総裁外交特別補佐、文化外交担当首相補佐官などをそれぞれ務めた実力派中堅議員で、菅氏も「仕事をしてきた人を閣僚に」と推薦し、首相も受け入れたという。
ただ、両氏とも党内では“ヤリ手”と評される一方で、「秘書へのパワハラや政治資金などで“黒い噂(うわさ)”が絶えない政治家」(有力議員のベテラン秘書)としても知られていた。
このため、当初からメディアなどの“危ない閣僚リスト”に名を連ね、「スキャンダル発覚は時間の問題」(閣僚経験者)と不安視される中で、いわゆる“文春砲”の標的となり、対応の拙劣さもあって閣僚就任からわずか1カ月半余での連続辞任となった。
◇「令和おじさん」人気への嫉妬も
4月1日の新元号「令和」発表以来、参院選での応援遊説でも行く先々で聴衆から「令和おじさん」との歓声を浴び、「内閣の黒子役から一気に次期首相の有力候補になった」(自民長老)とされる菅氏。
9月の内閣改造・党役員人事でも、菅原、河井両氏のほか、新内閣の“目玉閣僚”となった小泉進次郎氏の環境相起用でも、「菅氏が仲介役となった」(政府筋)のは周知の事実だ。
さらに、党役員人事でも、首相が一時模索した二階俊博幹事長の交代案を、二階氏と連携した菅氏が「政権が揺らぐ」として、首相を押しとどめたとされる。
こうした菅氏の“辣腕(らつわん)”ぶりが、「今回の人事は、菅氏の独り勝ち」(岸田派幹部)との指摘にもつながり、影響力もさらに拡大したかに見えた。
しかし、「政界は嫉妬の海」とされるだけに、党内で菅氏の実力者ぶりへの水面下での反発が広がり始めた途端の側近2閣僚のスキャンダル辞任で、「一番責任があるのは菅氏」(自民若手)との“菅批判”が一気に表面化した。
極めて異例な主要閣僚の連続辞任について、首相は「任命責任は私にある。国民にお詫びしたい」と、神妙な表情で陳謝した。
ただ、同じ初入閣組として、大学入学共通テストで活用される英語民間試験に絡めてのいわゆる“身の丈発言”で集中砲火を浴び、同試験実施見送りという「苦渋の決断」(文部科学省幹部)に追い込まれた萩生田光一文科相は、「首相の最側近」(細田派幹部)だけに、「安倍・菅ラインの人事の失敗だ」(石破派幹部)との“官邸批判”も広がる。
内閣のスポークスマンでもある菅氏は、「内閣として一層、身を引き締めて行政の責任を果たしていきたい」と、ひたすらガードを固めて嵐の過ぎ去るのを待つ。
ただ、伏し目がちの表情からは「これまでのような凄みが消えた」(担当記者)との声もあり、菅氏にとって、ここ当分は「“針のむしろ”で首をすくめる状態」(閣僚経験者)が続きそうだ【政治ジャーナリスト・泉 宏/「地方行政」11月11日号より】。
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