AKB48の26枚目の新曲「真夏のSounds good!」の発売日にして、選抜総選挙の投票開始2日目に当たる12年5月23日。東京・秋葉原のAKB48劇場では、同日現在のメンバー64人の得票数が発表された。
この「速報値」は、誰に勢いがあるのかをおおまかに把握できる指標となるのだが、結果は▽1位・大島▽2位・柏木▽3位・渡辺―と続いた。
「前田不在」の総選挙を前にしたメディアなどの下馬評では、前田と人気を二分してきた大島が「絶対有利」との予想が多かった。大島は10年の総選挙で1位を獲得。連続ドラマへの出演歴が多いなど芸能活動の実績があり、名前は広く浸透している。200人を超す大所帯に成長した「AKB48グループ」の顔として、前田に代わるセンターを務められるのは大島だけ―。そう受け止める向きが多かったのは、極めて自然なことだった。
そして、最終結果も予想通り、大島が2位の渡辺に3万6000票余りの大差を付けて圧勝した。「(1位に選ばれたステージからの)この景色をもう一度見たかった」と涙ながらに喜んだ大島は、花束を持って祝福に駆け付けた前田の前でこう語った。「あっちゃんが道を開こうとして頑張ってくれた。私はその道で土台になれれば」。これからエースとしてグループの先頭に立とうとする大島の覚悟は、しっかりと固まっていた。
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