ソチ五輪2014

よちよち歩きの町

10/10

カメラを向けると、わざわざ水を出す演出までしてくれた【時事通信社】

 アドレルに滞在する日数も残り少なくなった頃、衝撃的な事実に気がついた。顔が日焼けで黒くなっていたのだ。不覚だった。クソ暑い高校野球取材の時も、日焼け止めクリームを二重に塗り、黒い長袖のシャツを着込み、帽子とマスクで顔をスッポリ覆うなど、日焼け対策には万全を期してきたわたしなのに…。全く、なんということだ。

 だがこれも、暑い太陽の下で毎日アドレルの町を懸命に歩き回ってきた証拠。ありがたくはないが、この1週間の勲章のようなものである。帰国した後、次第に落ち着いていく肌の色に安堵するとともに、少し寂しさを覚えたのも事実だ。タクシーの運転手と大げんかをしたのも今となってはいい思い出。あちこちでナンパしてきたあの男どもは、性懲りもなく、今もまだ女性に声を掛けまくっているのだろうか…。

黒海に沈む夕日【時事通信社】

 アドレル、そしてソチは、よちよち歩きを始めた子供のような町だ。2014年2月のオリンピックというビッグイベントの開催を目指し、おぼつかない足取りで必死に歩んでいる。都市整備だけでなく、外国人客に対する接し方もまだまだ未熟。しかし、言葉が通じなくても一生懸命話しかけてくる人懐っこいあの人々ならば、わずかの期間に接し方も難なくこなしてしまいそうな気がする。

 3カ月後、五輪取材のために、わたしはまたあの町に行く。その時には、よろしく。素敵な「お・も・て・な・し」、期待してるよ!!

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