ソチ五輪2014

2014年 ソチ五輪 銀メダリスト

選手名(ふりがな) メダル 競技 種別・種目
葛西 紀明
(かさい・のりあき)
ジャンプ ラージヒル
葛西紀明

ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ラージヒルの銀メダルを手におどける葛西紀明

 2位と分かった瞬間、葛西は一瞬だけ天を仰いだ。「祈る気持ちだったけど、ストフにあそこまでのジャンプを飛ばれたら無理」。仲間に囲まれ、悔しさはすぐに押し殺す。7度目の五輪で初めてつかんだ個人のメダル。「自分で自分を褒めたい。団体のメダルとは比べものにならない」。長い努力が、ようやく実った。

 強風により試技が途中で中止され、1回目はぶっつけ本番。「(心臓が)バクバクしていた。上半身に力が入るのが分かった」。力を抜くため、スタートゲートで笑顔をつくった。気持ちを落ち着かせると、ヒルサイズまで1メートルに迫る139メートルの大ジャンプ。9日のノーマルヒルは1回目で8位と出遅れ、2回目で力んでしまったが、同じ過ちは繰り返さなかった。

葛西紀明

ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル、葛西紀明の2回目の飛躍【時事通信社】

 2回目はめまぐるしく変わる風の中、133.5メートル。最後に飛んだストフは132.5メートルだったが、着地の際に足を前後に広げるテレマーク姿勢の美しさが、2回とも相手の方が上だった。腰の痛みもあり、葛西は万全の着地姿勢が取れなかった。

 1月のW杯で史上最年長優勝記録を更新したとき、込み上げる涙を我慢した。五輪で泣くためだ。しかしこの日、涙は見せなかった。「ちょっと出そうになったけど、金メダルじゃなかったから」。目指したところは、もう一段上にあった。

 1998年長野五輪。故障もあって、団体メンバーから外され、金メダルメンバーになれなかった。その悔しさを糧に、41歳になっても第一線で活躍し続けてきた。あの悔しさは、「7割くらいは晴らせた」という。あと3割を満たすのは、金メダルしかない。4年後も、またこの舞台に戻るつもりか。「もちろんです」と即答した。

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