選手名(ふりがな) | 性 | メダル | 競技 | 種別・種目 |
---|---|---|---|---|
羽生 結弦 (はにゅう・ゆづる) |
男 | 金 | フィギュアスケート | 男子シングル |
表彰式で金メダルを手にするフィギュアスケート男子の羽生結弦【時事通信社】
演技を終えた後、リンク裏で直後に滑ったチャンの得点を映すモニターを、羽生は恐る恐るのぞき込んだ。「金メダルは駄目だったかな」と落ち込んでいただけに、チャンが自分を下回ったことを知り、「オーマイゴッド!」と驚いた。
SP首位で迎えたフリーは、「魔物」がすむと言われる五輪の難しさがあった。6分間練習から緊張や震えが止まらない。揺れる気持ちで跳んだ冒頭の4回転サルコーは、尻から転倒した。続く4回転トーループを完璧に決め、一息ついたかと思ったが、直後の3回転で手を着き、顔に落胆が浮かんだ。
だが、ここから踏ん張った。羽生のフリーは、ジャンプが1・1倍に加点される後半に、難易度の高い連続ジャンプを集中させている。一つはミスしたが、3回転半―3回転で大きく加点を得た。SPのリードもあり、最後に物を言った。
フィギュアスケート男子シングルで金メダルを獲得した羽生結弦【AFP=時事】
2年前から指導を受けるオーサー・コーチが、教え子を諭す言葉がある。「自分のスケートに責任を持て。氷の上では誰も助けてはくれない」。かつての羽生は、感情の赴くままに滑り、それがいい演技を生むときもあれば、逆のときもあった。
この日は、五輪の怖さを味わいながらも、瀬戸際で自分を保った。金妍児(韓国)を五輪女王に導いた4年前に続き、今度は王者を誕生させたオーサー・コーチは「ベストの滑りではなかったが、勝利は勝利。ユヅルを誇りに思う」と称賛した。
19歳での五輪金メダルは、男子で史上2番目の年少記録。納得のいく演技はできなかったが、「結果として金メダル。日本人としてすごく誇らしく思う」。日本男子の歴史を刻む輝きは、さらなる成長の糧になる。
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