選手名(ふりがな) | 性 | メダル | 競技 | 種別・種目 |
---|---|---|---|---|
長島 圭一郎 (ながしま・けいいちろう) |
男 | 銀 | スピードスケート | 男子五百メートル |
スピードスケート男子500メートルの表彰式で銀メダルを手に笑顔の長島圭一郎(カナダ・バンクーバー)【時事通信社】
大舞台で、長島圭一郎が笑った。1回目6位と出遅れたが、「次はすっ転んでもいい。飛ばしていこうと」。2回目はトップの34秒87を出し、ゴール後にメダルを確信。コーチとハイタッチし勢い余って転倒した後も、氷上でガッツポーズを繰り返した。
決してエリートではない。はい上がってきたんだ、という自負心が、その表情に深みを与える。
スケートどころ、北海道・帯広市近郊にある池田町出身。3歳からスケート靴に親しんだ。野球もやった。サッカーボールにも戯れた。「でも、どれも中途半端。うまくなかった」。スケートに専念した池田高校でも、最初は目立った成績を挙げられなかった。
それでも、長距離から短距離への転向が成功し、隠れていた才能が光り始める。3年生時のインターハイ1000メートルで優勝。日大進学後もこつこつと実力を蓄えた。
スピードスケート男子500メートルの2回目で力走する銀メダルの長島圭一郎(カナダ・バンクーバー)【時事通信社】
社会人1年目でトリノ五輪の代表に。しかし、そこに大きな挫折が待っていた。500メートル13位、1000メートル32位。初の五輪はまったく通用しなかった。「何となく出て、全部駄目だった。甘かった」。打ちのめされた。
このままでいいはずがない。持ち前の反骨心に火がついた。「コーナー、ストレート、スタート。全部変えた」。すべての面で底上げを図り、スケート漬けの毎日を送った。昨季の開幕前は所属チームを離れ、大学生と一緒に滑り込んで鍛えた。今季はレースで結果を出しても出さなくても、報道陣にはいつも「普通です」と素っ気なかった。それは、勝負はまだ先という思いからだった。
受け答えがぶっきらぼうに見えても、本当は素直で、優しい青年。すべての答えが出たあとにバンクーバーで浮かべた笑顔が、それを十分に物語っていた。
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