選手名(ふりがな) | 性 | メダル | 競技 | 種別・種目 |
---|---|---|---|---|
北沢 欣浩 (きたざわ・よしひろ) |
男 | 銀 | スピードスケート | 男子五百メートル |
スピードスケート男子500メートルで銀メダリストを獲得した北沢欣浩(ユーゴスラビア・サラエボ)
「新星」と見出しを付けた新聞があった。「伏兵」「見事な代役」と書いた紙面も。大会前、北沢の置かれていた立場がよく分かる言葉だ。サラエボ大会で、日本スピードスケート界の注目は黒岩彰一人に集まっていたと言っていい。ぎりぎりで代表に滑り込んだ21歳の若者は、決して多くを期待されていたわけではなかった。
黒岩は10位と期待を裏切った。関係者から落胆の声が漏れる。だが、次組の北沢の快走がそれを歓声に変えた。百メートルは、それまでで3番目に速い10秒12。歯を食い縛り、頭からゴールに突っ込んだ。38秒30で堂々の銀。日本の冬季五輪史上6個目、スケートでは初のメダリストが生まれた。
高校でも大学でも黒岩に後れを取った。北沢の名が知られるようになったのも、前年に黒岩を追い上げる滑りを見せてからだ。激しい雪と風圧の中で黒岩は散ったが、北沢は悪条件にも耐えてみせた。「一発勝負に強い」という評判は本物だった。
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