次は、首都の治安を守る警視庁の警備部災害対策課を訪ねた。同課のアカウント(@MPD_bousai )は、2023年8月現在で98万2000人のフォロワー数を誇る。ツイートは災害への備えにつながる話題が中心だが、「水道水だけで体の深部体温を下げる方法」「ペットが熱中症になったときの対処」など、季節に合わせた生活のヒントも多い。
警視庁警備部災害対策課
災害警備情報係長の山中義之警部
ツイートは同課の職員が持ち回りで担当し、災害警備情報係長の山中義之警部が全体を統括している。
山中警部によると、同課は2011年の東日本大震災の経験を踏まえ、「さまざまな情報が飛び交う災害時に、被災者の方が必要とする正しい情報を発信するには、SNSが最適だと考え、平成25(2013)年1月からツイートを始めました」ということだ。
同課のアカウントが平時から知られていなければ、災害時に情報を発信しても多くの人に届かない。そこでツイートは「できるだけ多くの方に関心を持っていただけるように、身近で親しみやすく、『なるほど』と気付きを感じられる内容や表現を心掛けている」そうだ。
注目を集めるにはタイミングも重要になる。同課課長の田浦善之警視は「今年、地下鉄サリン事件が発生した3月20日にツイートした『事件も災害も風化させない』というキーワードには、『いいね』とリツイートの合計が2万5000件ありました。ツイートを見ている皆さんの目が、研ぎ澄まされているのを感じます」としている。
日本語の使い方について、山中警部は「ユーザーには、老若男女、さまざまな方がいらっしゃるので、簡潔で分かりやすい表現を心掛けています。例えば、『高台に避難してください』というより『高いところに逃げてください』の方が分かりやすく、外国人や小さなお子さん、高齢者、障がいを持った方にも伝わります」と、災害弱者への配慮からも言葉の選択が重要だと語ってくれた。