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「佐世保市のスポーツクラブで男が散弾銃を乱射。負傷者が複数出ているもよう」。師走の夜、長崎支局から社会部に飛び込んだ一報は、ごく短い内容だったが、事件の深刻さを予感させるには十分だった。電話のやり取りをそばで聞いていた記者たちも、「これは」と、短い言葉を発して色めき立った。
事件発生は午後7時すぎ。まだ、それほど時間はたっていない。現場の状況は不明だが、最悪の事態も考え、取材態勢は一刻も早く整えなければならない。「近隣支局に連絡を取ってくれ」。現地に「応援部隊」の第一陣を送り込むための指示がデスクから飛ぶと、部内は急に慌ただしさを増した。
鳴りやまない電話、取材や緊急会見のためノートパソコンを手に、フロアを激しく行き来する記者たち。やがて、「男女2人が死亡」「子どもらも負傷」と、具体的な情報がもたらされ、事件は想定を超える衝撃となって広がった。
発砲した男は当初、立てこもりの情報もあった。迷彩服姿で背が高く、外国人説をにおわす一部報道もあった。しかし、確認が取れたものを記事化するという鉄則はこの時も貫かれた。翌朝、男は自殺。動機の解明は期待薄と思われたが、現場を取材した女性記者は、「男が知人数人をクラブに呼び出していた」との独自情報をつかみ、真っ先に報道。地方紙各紙の1面を総なめにしたほか、中央紙も軒並み追随させた。
日々の報道で、社会部の記者には、今目の前で起きていることの本質を読む「眼」、構図を把握する「力」が要求される。こうした基盤の上に立ち、国内はおろか、中東の紛争地帯やオリンピック開催国など、どこへでも出掛けていく。若手にもチャンスは均等にあり、つかむ努力が期待される。 |
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外信部の仕事には大きく分けて2つの流れがある。海外に散らばる特派員が送り込んでくる原稿を整理して配信することが1つ。外国通信社が送ってくる英語の記事を翻訳し、日本語の記事とする作業がもう1つだ。
ヒラリー対オバマ。08年は年明けから、国際ニュースは米大統領選一色だ。赤、白、青の華やかな色彩を背景に紙吹雪が舞う壇上で、個性豊かな候補が弁舌の限りを尽くす。こうしたニュースの1つ1つを整理し、翻訳し、記事として配信する。扱う題材の華やかさに比べると、こつこつ行う翻訳や情報の整理が中心の日常は地味だ。
そこに突然、イラクでテロ発生の至急報が飛び込んでくる。お祭り騒ぎが繰り広げられる地上の裏側で、同時進行の惨劇が続く。犠牲者は普通の市民。米大統領選の帰結の影響は巡り巡って地上の隅々に及ぶ。次の大統領は誰になるのか。何をしようというのか。無機質な英文を目で追いつつ襟を正すこともある。
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ホワイトハウス東側に隣接する米財務省。ワシントンに数ある連邦官庁ビルの中でも、格段の威容を誇る本館の1階に、世界の有力通信社、金融情報サービス十数社が常駐する記者室がある。
午後2時すぎ。ごった返す記者室内に「Fed mail! Close the doors!」と幹事社の叫びが響くと、2つのドアがバタンと閉鎖され、記者たちの顔に一様に緊張が走る。半マイルほど西にある米連邦準備制度理事会(FRB)本部で朝から開かれていた政策決定会合、連邦公開市場委員会(FOMC)の声明が幹事社にファクスで着信した瞬間だ。幹事社がコピーを配布してから5分間だけ、何億、何兆ドルものマネーを動かす全世界のトレーダーに先駆けて、記者たちには声明を読む特権が与えられる。ただし、すべての通信機器は発着信禁止で。
慌ただしくフラッシュ、原稿を打ち込むキーボードの音。「ten, nine, eight...」と通信禁止解除のカウントダウンが終わったとき、世界の市場はそれを知る。利下げの幅も、FRBの状況判断も…。時事MAINのニュース画面にも、フラッシュや記事、声明要旨の見出しがずらりと並ぶ。
07年夏から、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きをきっかけにした米国発の金融危機が、世界の市場を脅かし始めた。複雑に分散されたリスク、見えない損失。疑心暗鬼が渦巻く市場に対し、FRBは相次ぐ利下げのみならず、市中金融機関への新たな資金供給手法など、あらゆる手段で立ち向かっている。不意打ちの緊急声明、予想外の大幅利下げ…。FRBが込めた意図を正確に伝えられただろうか、そしてFRBは正しく事態をつかんでいるのか。連日の関係当局、市場関係者への取材など記者にとって息を抜けない金融危機。その報道には緊張感と充実感が詰まっている。
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事件記者、政治記者、経済記者…。同じ記者でも、所属部署や担当分野によっていろいろな呼び方がある。この伝で言えば、商品経済部はマーケット記者の集団である。08年はニューヨーク市場の原油が史上初めて100ドルを突破して幕を開けるなど、かつてないほど商品相場が脚光を浴びている。国内には東京工業品取引所、東京穀物商品取引所など4つの商品先物取引所があり、マーケット記者は石油や貴金属、穀物などの相場の動きはもちろんのこと、関連業界や官庁などを取材し、時事通信社の商品先物情報サービス「J―COM」を中心に専門性の高いニュースを提供している。
07年12月17日には「東工取の新システム、スウェーデンのOMX社製を採用」の独自記事を配信した。市場経済の拡大で国内外の取引所間競争が厳しさを増す中、東工取が存亡をかけて08年度中の導入を目指している次期システムに関係者の注目が集まっていた。専門分野で競合する経済紙を出し抜いてのスクープは、「商品先物情報に強い時事」を大いにアピールすることになった。
一方、専門記事も切り口次第でお茶の間向けに早変わりする。牛乳の生産調整でバターが供給不足になった事実をつかんだ農水省担当記者は「『バターが足りない』=パン屋さんが悲鳴」と読み物に仕立て、07年のクリスマスシーズン前に配信。その後、新聞やテレビがこぞってこの話題を特集するのを見て、記者もひそかにほくそ笑んだ。
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